レーザー治療と保険
 

レーザー治療に保険適用と聞いたのに 自分が治療を受けているクリニックは
レーザー治療には保険が利きません

こうした相談が度々あります。  確かにレーザー治療の1部には数年前から
保険治療が認められるようになりました。 しかし実際にはレーザー治療を
保険診療でやっているところは
少ないと言えます。 保険が認められているにもかかわらず
自費治療をしているところは すべて儲け主義のクリニックなのでしょうか? この件に関して正しく判断してもらうには 保険のシステムを少し知ってもらう必要があります。

 
 いわゆる保険治療を行う場合、 それぞれの治療や検査内容について 細かく点数(1点=10円)が決められています。 これを個人別、月ごとにどういうことを行ったか 列挙した請求書(レセプトといいます)にして月末に提出します。 このレセプトに書かれた内容は審査され、 病名により決められた通りに検査や治療が行われていないと 審査減となり支払ってもらえません。 仮に決められている通りやっていても 審査委員の考え一つで一方的にカットされることも珍しくありません。 この場合薬など使ったものがあれば病院側の実質的赤字になります。  さて、レーザー治療の保険点数は次のようになっています。

パルス色素レーザー療法(一連につき) 2170点
注)照射面積が10平方センチメートルを超える部分については 10平方センチメートルごとに、 及びその端数につき500点を加算する。
ただし所定点数の100分の400に
相当する点数を限度とする。  

Qスイッチ付きレーザー療法(一連につき)  2800点 注)頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部、または背部の それぞれの部位ごとに所定点数を算定する。

     パルス色素レーザーは血管腫用レーザー、 Qスイッチ付きレーザーは茶アザや太田母斑用のレーザーのことです。 1点10円ですので、それぞれ1回の治療につき2万1700円、2万8千円になります。 皆さんが実際に払われる金額はこの金額の2割か3割ですから、 5千円から7千円ということになります。 この治療費が高いか安いかは価値観の相違もありますから ここではあえて触れませんが、問題なのは「一連につき」という言葉です。 非常に解りにくい文章ですが原文通りにその注釈を書き出します。
「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して 所期の治療目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、 概ね3ヶ月間にわたり行われるものをいう。 例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、 全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、 1回のみ所定点数を算定する。

  上の文章は色素レーザー、Qスイッチレーザーともに書いてあります。 更にQスイッチレーザーに関しては次のような注記も書いてあります。

 

 

Qスイッチレーザー照射療法 Qスイッチ付きルビーレーザー療法、ルビーレーザー療法、
Qスイッチ付きアレキサンドライトレーザー照射療法をいう。

 

 

Qスイッチ付きルビーレーザー療法、ルビーレーザー療法は、
太田母班、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母班
などに対しておこなった場合に算定できる。
一連の治療が終了した後に再発した症例に対して 当該療法を行う場合も算定できるが、 同一部位に対しては初回療法を含め2回を限度とする。

 

 

Qスイッチ付きアレキサンドライトレーザー照射療法は
太田母班、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症
に対しておこなった場合に算定できる。

 
これらの文章を解りやすいようにかみ砕いて説明すれば、  レーザー治療は3ヶ月以内に治療を終了しなさい。 そして、その3ヶ月以内に何度治療しても1回分しか認めません。 たとえ治療する範囲が広範囲であって 何度かに分けて治療しても、 1回では効果が不十分で追加照射しても、 治療費は1回分しか認めません。 ルビーレーザーは3ヶ月以上たって再発したものは あと1回だけ治療は認めますがそれっきりですよ。 Qスイッチアレキサンドライトレーザーは
扁平母班は使っちゃいけないし
それ以外の物でも初回治療には使っていいけど 再発したら使っても認めませんよ。
という意味でしょうか。    つまりアザの治療は治療を開始したら3ヶ月以内に終了し 再発しても原則治療できないことになります。 これがいかに無茶な治療方針かは 実際に治療を受けたことがある方は解ると思います。 また、効果に差がないといわれている Qスイッチアレキサンドライトレーザーは再発した場合使えないし、 Q−YAGレーザーにいたっては全く認められないのです。 効果に明らかに差があるのならば仕方がないと思いますが なぜ同等の機械に対して差がつくかも非常に疑問です。  では、患者さんのためを考え何回かに分け治療したり、 治療結果をよりよくしようとして何度か治療を行い、 それを請求すればどうなるでしょうか。 マスコミがよく使う 「医療費の不正請求」ということになります。 患者さんのことを考えてベストの治療をした場合、 赤字で治療しなければならないのです。

結局、
ちゃんとした治療をしたいのならば
自費治療じゃないとできないよ
ということにもなるのです。    「ヒトの不幸(病気)で儲けるな」、 といわれる方もいるかもしれませんが 1台1000万円以上の機械を使い
認められる治療は2万数千円の1回だけ。 患者さんのためを考え
ベストの治療をすれば赤字になる。 これでは少しでも経済感覚を持っている人間ならば 儲けようと思わなくても 保険治療をやらないのは無理ないと思いませんか? 少なくとも他の多くの患者さんたちのためにも クリニックを赤字にしてつぶすわけにはいかないのですから。    私には厚生省が保険を認めるポーズだけをとり、 実際には保険を使わせないようにしているとしか思えません。 さらには、

「保険は認めているのだから使わないのは医者が儲けようとしているためだ」 と世間にわざと誤解させているような気がするのは
私の被害妄想でしょうか?